ルウの戯言

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　コーラルビーチダンジョン



コーラルビーチとアクアリースをはさむ形で存在するこの洞窟は、
通行人を屠らんとし垂涎する魔物に満ち溢れている。
それは南国のリゾートを餌にして獲物を待つ食虫植物のようであり、
そしてコーラルビーチから旅立つ旅人にしてみれば、まさに試練であった。

待ち受けるのはエダックスと海賊カメ。
どちらも戦闘面で長月ルウを越える強者であり、
さらにエダックスは如何なる加護によるものか、銃弾を通そうとしない。

無理を承知で試しにアサシンアタックを放つが、
ただでさえ少ない薬が猛烈な勢いで消費させられてしまった。
さらに二匹にはさまれただけで一切の装填ができなくなる。
LV18ではまだ無理か。
そう判断した私は常套手段である"走りぬけ"を敢行する。
いつか必ず、彼らの前に立ちはだかってみたいものである。

海賊カメのラッシュとエダックスの猛攻を潜り抜けると、
洞窟に満ちていた覇気に近い緊張感がフッと消えうせる。
同時に私の前に現れたのは可愛らしい王冠をかぶった大カモノハシと、
"円錐状の岩"としか表現のしようがないコーンストーンだった。
もう明らかに敵意が感じられないのだが、
場合によっては色々と美味しい敵となりえるかもしれない。
しばらく背中で沈黙を保っていた銃(絵では吹き矢だが）を構えた。




洞窟に数発の銃声が響き渡り、長月ルウの足元に薬莢がパラパラと広がる。
凶弾は獲物を見つけ次第喰らいつき、破壊力を体内で存分に発揮した。
(3/11時点 誤って公開してしまいました(汗 )

(3/22 追記)

ダメージは数値にして200にも届かないが、
今までの狩りの効率で考えてみれば武器の威力は十分。
ここの敵が落とすアイテムはどれも重く、長期戦には向かないようだったが
イソギンチャクやマングース辺りならば効率よく狩れるに違いない。
コーラルビーチに向かうよりも、そちらのほうを試したくてワクワクした。

何より、ここまで来たことで確実に強くなっていたことが嬉しかった。
手の中で存在を主張する銃が一層頼もしく思えた。
遠くの敵を銃撃し、近くに寄れば急所を狙う。
遠近両刀とも言える自分のスタイルに誇りすら覚えてくる。

だが―――それが自身の強さに慢心した瞬間であることを、
この時理解しているべきだったのだ。
慢心したことに対する天罰を受けるまでに、時間はかからなかった。